これから会社を設立するのですけれど、決算期は何月が良いですかね?
12月から3月は避けたほうが良いですよ
決算期をいつにするか?
決算月は12月、3月を避けて。
ではいつ?
ご紹介をいただいた方から、新たに会社を設立したいが決算を何月にするのが良いかというご相談を受けました。
はじめは、決算期は3月か12月が良いとのお考えでした。たしかに会社設立の本を読むと、1月始まりとか4月始まりのケースがよく書いてあります。
わたしの事務所では12月から3月の決算期は避けてもらうようお願いをしています。
決算期は繁忙月を避けるべき2つの理由
ここから先は、決算期を決める際に12月から3月などの繁忙期を避けるべき理由について詳しく説明していきます。
①会計事務所が忙しい。
会計事務所は12月から5月までが繁忙期になります。
12月から年末調整の作業が入り、2月から3月までは確定申告、5月は3月決算会社の申告とほぼ12月から5月まで多忙な時期が続きます。
確定申告や会社の決算では節税対策や決算数字の対策として、決算の日までに提出しなければならない書類を準備しなければなりません。その書類を提出するかどうかは期末の1ヶ月から2ヶ月前に検討しなければなりません。よい決算にするには数か月前から慎重に準備をする必要があります。ですので、ある程度の余裕が必要になります。
12月から3月決算期の会社の打ち合わせにはあまり時間が取れなくなります。
②節税対策、銀行対策
会社によってですが、飲食業や小売業は12月の年末の売上が大きくなります。公共事業などは3月に工事が集中します。
1年間の最後の月の売上が大きくなると、予想外に売上がでた時には利益も大きくなります。事前にわかっていれば、節税の対策も取れますが、期末をすぎたら、それもできません。
また、なんらかの事情で売上が落ち込んだ場合、思ったほど利益が上がらず、赤字決算になることもあります。決算が2期続いて赤字になると、銀行の借入の条件は悪くなります。経費を節約しようとしても、期末の一か月では経費削減の効果がでません。
業態によっては12月決算、3月決算はリスクがあります。顧問先の会社は食品卸売会社で、年間売上の40%が10月から12月に集中していました。特に12月の売り上げは20%くらいでしたので、ここの業績がぶれると大変でした。赤字の決算書を作るしか手がありません。
では、決算期はいつが良いのか?
お話したとおり、12月から3月決算をはずしたほうが良い、となると4月から10月までの期間を決算月とすべきでしょう。
次に、あたらしい会社の売上が多い月を事業年度の頭の方に持って行きます。これは対銀行対策です。借入をすると、銀行に試算表を提出するようにいわれます。毎月とか3ヶ月に一度とか。その時、年の頭の方で利益が出ていると、銀行に業績の説明がしやすい。とりあえず、試算表が黒字であれば、銀行は何も言って来ません。仮に、思ったほど利益が出ていない場合には、経費を削ったり、営業を強化するなどの手段が取れます。期末までに時間がありますから。
これが期末に売上のピークがあって、それ以外の月は赤字だとすると、銀行に報告するたびに、赤字挽回をの説明を求められたりします。銀行の担当は大体2年から3年で移動しますので、その度に赤字の説明をしなければなりません。期末の数字が予想外に大きく落ち込んだ場合は、銀行へ決算の報告に行くもの気が重くなります。
顧問先が決算期を8月から3月に変えました。
変更前は、9月から12月の売り上げのピークが会計年度の前半に来ていたので、利益がでており、1月から8月で経費をコントロールして利益を確保していました。利益が出すぎた時は夏のボーナスで社員に還元もできました。
ところが、決算期を8月から3月に変えたとたん、銀行の対応が厳しくなりました。年度が始まってから赤字先行で、9月から12月のピーク時の売り上げが良くないと、1月から3月では、リカバリーができず、赤字決算になってしまったからです。
まとめ
結論として賞与での経費のコントロールということも考えると、決算は7月、8月、9月あたりにするのが良いかと思います。会社の業態にもよりますが、私の事務所ではお薦めをしています。ただし、会計事務所の事情にもよりますので、顧問税理士に事前に相談しておくのも良いと思います。