「肉屋には魚を売れ!魚屋には肉を売れ!」すぐ近くに解決策はある。卸売りマーケティングでの経験

 普通は肉屋さんには肉を売るでしょう?これ逆じゃないですか?

しもだ

いえいえ、逆でいいんです。

ものが売れなくなった時、新しい販売先を探すことになりますが、意外なところにヒントがあります。わたしの過去の体験からおはなしします。

目次

「肉屋には魚を売れ!、魚屋には肉を売れ!」とは誰が言ったの?

これは以前に勤めていた食品輸入会社の社長が言っていた言葉です。その会社は海外から外食産業用の水産品や畜産品を輸入して、魚屋さん、肉屋さんに販売していました。一般的に、水産品は魚屋さんに、畜産品は肉屋さんに卸すのが普通だと思います。ところが、社長の営業方針は逆でした。それが「肉屋には魚を売れ!魚屋には肉を売れ!」です。この言葉どおりに営業をすると、今まで芳しくなかった新商品が、なんと売れ始めました。

今までの販売ルートでは売れなくなってきた、その時に

前述の輸入会社は輸入した商品を魚屋さん、肉屋さんをとおして、ホテルで使ってもらっていました。つまり、輸入会社としては、魚屋さん、肉屋さん、どちらのルートをとっても、結局その商品は最終購買者としてのホテルで使われるので、どちらに卸しても同じであるという状況でした。当時1990年代はグルメブームに火がついていて、外食業界では新しい食材はどこでも引っ張りだこでした。しかし、だんだん競合との競争が激しくなって、輸入した新商品を営業するときに壁にぶつかります。海外から輸入した新しい水産物のサンプルをもって魚屋さんに行っても「そんな聞いたこともない商品はうちでは売れない」と言われ、興味を持ってもらえません。一方、畜肉の新商品を肉屋さんへ持って行っても同じような反応でした。紹介した新商品がユーザーに採用されると、いままで納入していた商品から新しい商品にスイッチするだけで面白みがありません。逆に、新商品の在庫も増えデメリットの方が大きくなります。

魚屋さん

今売っている商品が売れなくなるし、在庫数が増えるし・・・
うちでは扱えないよ

なぜ、水産新商品を魚屋さんに持って行っても相手にされないのか?

  1. 魚屋さんはその道何十年のプロで、自分の経験が基準なので新しいものに対しての拒否反応がある。 
  2. 新商品を販売した結果、今取り扱っている商品と競合してしまい、新商品を紹介してもうま味が無い。
  3. すでに多くの同業他社が新商品を頻繁に売り込んでくるので、新規の取引先の商品を扱う余裕がない。

魚屋さんは肉が好き???

                                                  ところが、既存の商品に変えて、今度は魚屋さんに肉製品を紹介してみました。すると意外な反応が、、、。      興味を持ってホテルの現場にサンプルを持って行ってくれるのです。 

魚屋さん

販促するから、もっとサンプル持ってきて

どうしてこんなことが起きるのか?  

  1. 肉製品は自社の納入する商品とかぶらないので、食い合いを心配する必要はない➡安心して紹介してくれる。
  2. 肉商品のことはわからないので、とにかく現場に持って行ってくれる➡自分で売れる売れないの判断をしない。
  3. 肉製品は自社の水産品を売るためのオマケのような位置づけなので、利益を取らずに販売してくれる    ➡ 現場では安価に仕入れられる ➡ 現場で採用されやすい。 
  4. 魚屋さんに対して競合会社は肉製品を営業してこないので、こちらの新商品が新鮮に感じられる                                

さらに、現場にサンプルを持って行っても、魚屋さんは自分では肉製品のことを説明できないので、現場に同行して欲しいと依頼がはいり始めます。

思った以上の効果が出てきた

魚屋さん

料理長がその新商品に興味があると言っているのだけど、肉はわからないから一緒に説明に行ってくれない?

ここで、現場に同行することで、キーパーソンとのコンタクトがとれるようになりました。この方法で全国の料理長のリストができました。このリストを元にメールで新商品情報、特売情報を配信することで、ユーザーと直接コンタクトがとれるようになり、現場のニーズを聞き出して売り上げを伸ばすことができました。

まとめ

既存のルートでの売り上げが減少しているとき、新しく市場を開拓していかなくてはならない、こういったことはよくあると思います。一度、いままでの決まったやり方や販売ルートを見直してみると、意外とすぐそばに解決策があったりします。今回の方法も初めは社内からは批判的な意見が多かったのですが、社長は「ダメもとでも良いからとにかくやってみよう」ということで、少しずつ進めていきました。結果、意外にもこの方法が的を得て、会社の売り上げを大きく伸ばすことに貢献しました。                       ここはだめだと、固定観念にとらわれるのではなく、可能性があればやってみること。自分の体験から学びました。

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